成年後見関係事件の概況 −平成27年1月〜12月− 最高裁判所事務総局家庭局 本資料は,平成27年1月から12月までの1年間における,全国の家庭裁判所の成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の処理状況について,その概況を取りまとめたものである。 以下の数値は,いずれも当局実情調査の結果に基づく概数であり,今後の集計整理により,異同訂正が生じることがある。また,各項目別割合は,原則として,小数点以下第二位を四捨五入したものであり,比率の合計が100とならない場合及び小計として表示されている比率と一致しない場合がある。 目 次 1 申立件数について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (資料1)過去5年における申立件数の推移 2 終局区分について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (資料2)終局区分別件数 3 審理期間について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 (資料3)審理期間別の割合 4 申立人と本人との関係について・・・・・・・・・・・・・・・・4 (資料4)申立人と本人との関係別件数 (資料5)申立人と本人との関係別件数(家庭裁判所管内別) 5 本人の男女別・年齢別割合について・・・・・・・・・・・・・・6 (資料6)本人の男女別・年齢別割合 6 申立ての動機について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 (資料7)主な申立ての動機別件数 7 鑑定について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (資料8)鑑定期間別割合 (資料9)鑑定費用別割合 8 成年後見人等と本人との関係について・・・・・・・・・・・・・9 (資料10)成年後見人等と本人との関係別件数 9 成年後見制度の利用者数について・・・・・・・・・・・・・・・11 (資料11)成年後見制度の利用者数の推移 1 1 申立件数について(資料1) ○ 成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で34,782件(前年は34,373件)であり,対前年比約1.2%の増加となっている。 ○ 後見開始の審判の申立件数は27,521件(前年は27,515件)であり,対前年比約0.02%の増加となっている。 ○ 保佐開始の審判の申立件数は5,085件(前年は4,806件)であり,対前年比約5.8%の増加となっている。 ○ 補助開始の審判の申立件数は1,360件(前年は1,314件)であり,対前年比約3.5%の増加となっている。 ○ 任意後見監督人選任の審判の申立件数は816件(前年は738件)であり,対前年比約10.6%の増加となっている。 (資料1) 過去5年における申立件数の推移 総数 平成23年 31,402件 平成24年 34,689件 平成25年 34,548件 平成26年 34,373件 平成27年 34,782件 後見開始 平成23年 25,905件 平成24年 28,472件 平成25年 28,040件 平成26年 27,515件 平成27年 27,521件 保佐開始 平成23年 3,708件 平成24年 4,268件 平成25年 4,510件 平成26年 4,806件 平成27年 5,085件 補助開始 平成23年 1,144件 平成24年 1,264件 平成25年 1,282件 平成26年 1,314件 平成27年 1,360件 任意後見監督人選任 平成23年 645件 平成24年 685件 平成25年 716件 平成26年 738件 平成27年 816件 (注) 各年の件数は,それぞれ当該年の1月から12月までに申立てのあった件数である。 2 終局区分について(資料2) ○ 成年後見関係事件の終局事件合計34,496件のうち,認容で終局したものは約95.3%(前年は約94.9%)である。 (資料2) 終局区分別件数 全国 既決件数 34,496 後見開始 認容 26,146 却下 72 その他 1,127 保佐開始 認容 4,786 却下 24 その他 232 補助開始 認容 1,251 却下 10 その他 67 任意後見監督人選任 認容 678 却下 18 その他 85 全体 認容 32,861(95.3%) 却下 124(0.4%) その他 1,511(4.4%) (注1) 平成27年1月から12月までに終局した件数である。 (注2) その他には,取下げ,本人死亡等による当然終了,移送などを含む。 3 審理期間について(資料3) ○ 成年後見関係事件の終局事件合計34,496件のうち,2か月以内に終局したものが全体の約76.2%(前年は約76.9%),4か月以内に終局したものが全体の約94.7%(前年は約94.3%)である。 (資料3) 審理期間別の割合 1月以内 44.8% 1月超え2月以内 31.4% 2月超え3月以内 12.5% 3月超え4月以内 6.0% 4月超え5月以内 2.6% 5月超え6月以内 1.1% 6月超え1.6% 4 申立人と本人との関係について(資料4,5) ○ 申立人については,本人の子が最も多く全体の約30.2%を占め,次いで市区町村長(約17.3%),本人の兄弟姉妹(約13.7%)の順となっている。 ○ 市区町村長が申し立てたものは5,993件で,前年の5,592件(全体の約16.4%)に比べ,対前年比約7.2%の増加となっている。 (資料4) 申立人と本人との関係別件数 本人 3,917 配偶者 1,940 親 1,894 子 10,445 兄弟姉妹 4,749 その他親族 4,667 法定後見人等 420 任意後見人等 598 検察官 0 市区町村長 5,993 (注1) 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の終局事件を対象とした。 (注2) 申立人が該当する「関係別」の個数を集計したもの(34,623件)を母数としている。 (注3) その他親族とは,配偶者,親,子及び兄弟姉妹を除く,四親等内の親族をいう。 (資料5) 申立人と本人との関係別件数(家庭裁判所管内別) 東京 総数 5,164 うち市区町村長申立 998 横浜 総数 2,592 うち市区町村長申立 494 さいたま 総数 1,526 うち市区町村長申立 295 千葉 総数 1,506 うち市区町村長申立 262 水戸 総数 477 うち市区町村長申立 62 宇都宮 総数 308 うち市区町村長申立 43 前橋 総数 431 うち市区町村長申立 45 静岡 総数 1,059 うち市区町村長申立 106 甲府 総数 206 うち市区町村長申立 62 長野 総数 514 うち市区町村長申立 75 新潟 総数 635 うち市区町村長申立 59 大阪 総数 3,117 うち市区町村長申立 578 京都 総数 1,009 うち市区町村長申立 164 神戸 総数 1,607 うち市区町村長申立 229 奈良 総数 388 うち市区町村長申立 57 大津 総数 459 うち市区町村長申立 58 和歌山 総数 213 うち市区町村長申立 46 名古屋 総数 1,350 うち市区町村長申立 223 津 総数 407 うち市区町村長申立 60 岐阜 総数 417 うち市区町村長申立 52 福井 総数 227 うち市区町村長申立 29 金沢 総数 365 うち市区町村長申立 36 富山 総数 329 うち市区町村長申立 55 広島 総数 824 うち市区町村長申立 121 山口 総数 433 うち市区町村長申立 90 岡山 総数 849 うち市区町村長申立 208 鳥取 総数 266 うち市区町村長申立 56 松江 総数 165 うち市区町村長申立 39 福岡 総数 1,320 うち市区町村長申立 130 佐賀 総数 239 うち市区町村長申立 34 長崎 総数 304 うち市区町村長申立 31 大分 総数 266 うち市区町村長申立 27 熊本 総数 427 うち市区町村長申立 85 鹿児島 総数 343 うち市区町村長申立 52 宮崎 総数 324 うち市区町村長申立 73 那覇 総数 380 うち市区町村長申立 89 仙台 総数 387 うち市区町村長申立 94 福島 総数 350 うち市区町村長申立 102 山形 総数 255 うち市区町村長申立 81 盛岡 総数 297 うち市区町村長申立 25 秋田 総数 152 うち市区町村長申立 12 青森 総数 315 うち市区町村長申立 82 札幌 総数 783 うち市区町村長申立 96 函館 総数 127 うち市区町村長申立 14 旭川 総数 201 うち市区町村長申立 34 釧路 総数 246 うち市区町村長申立 76 高松 総数 269 うち市区町村長申立 79 徳島 総数 220 うち市区町村長申立 56 高知 総数 238 うち市区町村長申立 48 松山 総数 337 うち市区町村長申立 71 総数 総数34,623 うち市区町村長申立 5,993 (注1) 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の終局事件を対象とした。 (注2) 申立人が該当する「関係別」の個数を集計したものであり,1件の終局事件について複数の申立人がある場合に,複数の「関係別」に該当することがあるため,総数は,終局事件総数(34,496件)とは一致しない。 (注3) 市区町村別の申立件数については把握していない。 5 本人の男女別・年齢別割合について(資料6) ○ 本人の男女別割合は,男性が約40.5%,女性が約59.5%である。 ○ 男性では,80歳以上が最も多く全体の約34.2%を占め,次いで70歳代の約23.8%となっている。 ○ 女性では,80歳以上が最も多く全体の約63.3%を占め,次いで70歳代の約19.0%となっている。 ○ 本人が65歳以上の者は,男性では男性全体の約67.9%を,女性では女性全体の約86.4%を占めている。 (資料6) 本人の男女別・年齢別割合 (男性)20歳代 3.2% 30歳代 3.6% 40歳代 7.6% 50歳代 10.3% 60歳以上65歳未満 7.1% 65歳以上70歳未満 10.0% 70歳代 23.8% 80歳以上 34.2% 20歳未満 0.3% (女性)20歳代 1.4% 30歳代 1.7% 40歳代 3.1% 50歳代 4.5% 60歳以上65歳未満 2.7% 65歳以上70歳未満 4.1% 70歳代 19.0% 80歳以上 63.3% 20歳未満 0.2% (注) 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件のうち認容で終局した事件を対象とした。 6 申立ての動機について(資料7) ○ 主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約が最も多く,次いで,介護保険契約(施設入所等のため)となっている。 (資料7) 主な申立ての動機別件数 預貯金等の管理・解約 28,874 保険金受取 2,692 不動産の処分 6,494 相続手続 5,958 訴訟手続等 1,818 介護保険契約(施設入所等のため) 11,588 身上監護 8,951 その他 1,844 (注1) 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の終局事件を対象とした。 (注2) 1件の終局事件について主な申立ての動機が複数ある場合があるため,総数は,終局事件総数(34,496件)とは一致しない。 7 鑑定について(資料8,9) ○ 成年後見関係事件の終局事件のうち,鑑定を実施したものは,全体の約9.6%(前年は約10.8%)であった。 ○ 鑑定の期間については,1か月以内のものが最も多く全体の約54.6%(前年は約55.7%)を占めている。 ○ 鑑定の費用については,5万円以下のものが全体の約60.9%(前年は約63.0%)を占めており,全体の約97.6%の事件において鑑定費用が10万円以下であった(前年は約98.0%であった。)。 (資料8) 鑑定期間別割合 1月以内 54.6% 1月超え2月以内 36.1% 2月超え3月以内 6.3% 3月超え4月以内 1.7% 4月超え5月以内 0.5% 5月超え6月以内 0.5% 6月超え 0.3% (資料9) 鑑定費用別割合 5万円以下 60.9% 5万円超え10万円以下 36.6% 10万円超え15万円以下 2.0% 15万円超え20万円以下 0.4% 20万円超え 0.03% 8 成年後見人等と本人との関係について(資料10) ○ 成年後見人等(成年後見人,保佐人及び補助人)と本人との関係をみると,配偶者,親,子,兄弟姉妹及びその他親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約29.9%(前年は約35.0%)となっている。 ○ 親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは,全体の約70.1%(前年は約65.0%)であり,親族が成年後見人等に選任されたものを上回っている。その内訳は,弁護士が8,000件(前年は6,961件)で,対前年比で約14.9%の増加,司法書士が9,442件(前年は8,716件)で,対前年比で約8.3%の増加,社会福祉士が3,725件(前年は3,380件)で,対前年比で約10.2%の増加となっている。 (資料10) 成年後見人等と本人との関係別件数 配偶者 851 親 814 子 5,515 兄弟姉妹 1,481 その他親族 1,765 弁護士 8,000 司法書士 9,442 社会福祉士 3,725 社会福祉協議会 821 税理士 85 行政書士 822 精神保健福祉士 21 市民後見人 224 その他法人 1,185 その他個人 169 (注1) 後見開始,保佐開始及び補助開始事件のうち認容で終局した事件を対象とした。 (注2) 成年後見人等が該当する「関係別」の個数を集計したもの(34,920件)を母数としており,1件の終局事件について複数の成年後見人等がある場合に,複数の「関係別」に該当することがあるため,総数は,認容で終局した事件総数(32,183件)とは一致しない。 (注3) その他親族とは,配偶者,親,子及び兄弟姉妹を除く,四親等内の親族をいう。 (注4) 弁護士,司法書士,税理士及び行政書士の数値は,弁護士法人285件,司法書士法人269件,税理士法人2件及び行政書士法人34件をそれぞれ含んでいる。 (注5) 市民後見人とは,弁護士,司法書士,社会福祉士,税理士,行政書士及び精神保健福祉士以外の自然人のうち,本人と親族関係(6親等内の血族,配偶者,3親等内の姻族)及び交友関係がなく,社会貢献のため,地方自治体等(※1)が行う後見人養成講座などにより成年後見制度に関する一定の知識や技術・態度を身に付けた上,他人の成年後見人等になることを希望している者を選任した場合をいう(※2,3)。 ※1 地方自治体の委嘱を受けた社会福祉協議会,NPO法人,大学等の団体を含む。 ※2 市民後見人については平成23年から調査を開始しているが,同年及び平成24年の市民後見人の数値は,各家庭裁判所が「市民後見人」として報告した個数を集計したものである。 ※3 当局実情調査における集計の便宜上の定義であり,市民後見人がこれに限られるとする趣旨ではない。 9 成年後見制度の利用者数について(資料11) ○ 平成27年12月末日時点における,成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は合計で191,335人(前年は184,670人)であり,対前年比約3.6%の増加となっている。 ○ 成年後見の利用者数は152,681人(前年は149,021人)であり,対前年比約2.5%の増加となっている。 ○ 保佐の利用者数は27,655人(前年は25,189人)であり,対前年比約9.8%の増加となっている。 ○ 補助の利用者数は8,754人(前年は8,341人)であり,対前年比約5.0%の増加となっている。 ○ 任意後見の利用者数は2,245人(前年は2,119人)であり,対前年比約5.9%の増加となっている。 (資料11) 成年後見制度の利用者数の推移 総数 平成23年12月末日時点 153,314 平成24年12月末日時点 166,289 平成25年12月末日時点 176,564 平成26年12月末日時点 184,670 平成27年12月末日時点 191,335 成年後見 平成23年12月末日時点 126,765 平成24年12月末日時点 136,484 平成25年12月末日時点 143,661 平成26年12月末日時点 149、021 平成27年12月末日時点 152,681 保佐 平成23年12月末日時点 17,917 平成24年12月末日時点 20,429 平成25年12月末日時点 22,891 平成26年12月末日時点 25、189 平成27年12月末日時点 27、655 補助 平成23年12月末日時点 6,930 平成24年12月末日時点 7,508 平成25年12月末日時点 8,013 平成26年12月末日時点 8,341 平成27年12月末日時点 8,754 成年後見 平成23年12月末日時点 1,702 平成24年12月末日時点 1,868 平成25年12月末日時点 1,999 平成26年12月末日時点 2,119 平成27年12月末日時点 2,245 (注) 成年後見制度の利用者とは,後見開始,保佐開始又は補助開始の審判がされ,現に成年後見人等による支援を受けている成年被後見人,被保佐人及び被補助人並びに任意後見監督人選任の審判がされ,現に任意後見契約が効力を生じている本人をいう。