学会通信創刊号 | 日本障害法学会

2016年12月13日 会報誌

日本障害法学会通信創刊号

1.第1回 日本障害法学会が開催されました!

 2016年12月10日(土)に、神奈川大学横浜キャンパスにて、第1回日本障害法学会設立総会及び研究総会が開催されました。

(1)設立総会

設立総会では、設立準備委員会を代表して、東俊裕弁護士が障害法学会設立に至る経緯と意義に関して説明し、日本障害法学会設立趣意書が承認されました。設立会員となったのは総会前に入会申込を頂いた75名の方々です。次いで、日本障害法学会規約が承認され、下記の方々が学会理事として承認されました。

総会において承認された理事は以下の通りです(敬称略)。(理事)浅倉むつ子 新井誠 池原毅和 植木淳 大谷恭子 川内美彦 川島聡 河野正輝 竹下義樹 長瀬修 新田秀樹 東俊裕 棟居快行 森川恭剛 山崎公士(監事)小林昌之 藤岡毅

次に、設立準備委員会事務担当から、2016-2017年度の活動案として、①第2回障害法学会の開催、②学会HPの開設・管理、③学会誌の刊行、④研究会等の企画等が了承されました。次いで、学会設立事業予算、2016年度予算、2017年度予算が提案され、質疑応答の上で、了承されました。安定的な学会運営を行うため、会費は専任会員8000円・非専任会員4000円とすることが了承されました。さらに、障害者権利条約への道を切り開くなど障害者の権利保障に多大な功績を残し、12月3日に逝去されたスウェーデンのベンクト・リンクビスト氏に黙とうが捧げられました。

(2)研究総会(報告・シンポジウム)

河野正輝会員「新しい社会法としての障害法――その法的構造と総合支援法の課題」では、障害法とは人権の自由権的側面と社会権的側面を分離せずに基本的自由の完全かつ平等な享有を基本原理とするものであって、伝統的な社会保障法学とは一線を画するものであることが論じられ、総合支援法の課題(自己管理型支援の必要性)が指摘されました。

浅倉むつ子会員「障害を理由とする雇用差別禁止の法的課題」では、雇用差別禁止法の全体構造を踏まえたうえで、障害差別については、とくに雇用促進法で間接差別禁止規定が設けられなかったこと、合理的配慮の不提供が「差別」と位置づけられなかったことの問題が指摘されるとともに、雇用率制度、特例子会社、最低賃金の減額特例、通勤支援などの課題が検討されました。

新井誠会員「成年後見法と障害者権利条約」では、成年後見制度の現状分析(利用数全体が低調であり特に補助制度が活用されていないこと)が行なわれた上で、障害者権利条約が「支援付き意思決定」を原則としていることからすれば、日本の後見制度のように画一的で無期限の能力制度を定めていることは条約の趣旨に適合していないことが指摘されました。

シンポジウム「障害法とは何か?」では、川島聡会員から、障害者を保護の客体として捉える伝統的障害法から、障害当事者の視点(障害の社会モデル)で人権を総合的に保障しようとする現代的障害法への構造転換が進行していることが指摘されました。次に、池原毅和会員からは、Civil Rights Model(市民権モデル)ではなく、Social Welfare Model(社会保障モデル)に拠ることは、人の人生を二つに分かつものとなるのではないかとの問題提起がされました。その後、各報告者に対して寄せられた質問用紙を基に活発な質疑応答が行われました。

学会報告・シンポジウムは、刊行予定の学会誌「障害法」に掲載される予定です。

(3)第1回 理事会・閉会式

設立総会終了後に、第1回理事会が開催され、理事の互選の結果として、初代の代表理事として、河野正輝会員が選出されました。また、企画委員として、川島聡会員(委員長)、青木志帆会員、金子匡良会員が、編集委員として、棟居快行会員(委員長)、山崎公士会員が、事務局員として植木淳会員(事務局長)、内山真由美会員、西田玲子会員、野上典江会員が委嘱されました。

研究総会後の閉会式において、河野正輝代表理事から御挨拶を頂きました。

2.会費納入をお願いします。

2016年度会費は、専任会員8000円・非専任会員4000円になります。御多忙中に大変に恐縮ですが、2017215日(水)までに下記口座まで会費の振込を頂きますようお願いいたします。また、大変に恐縮ですが、振込手数料は会員各位の御負担でお願いたします。みずほ銀行 北九州支店611 口座番号 1283514 障害法学会 事務局 植木淳

障害法学会通信創刊号


PAGE TOP